梅干しだよ人生は(字余り)の話

 

去年の夏に梅干しを漬けた話をします。

 

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きっかけは友達との会話でした。

 

 

 

学食で梅干しを食べられない話をしていた時、彼が言いました。

 

「梅干しの味を思い出そうとするとさ、紫蘇の味が出てこない?」

 

そう言われて思い出そうとすると、酸味と共にあの紫蘇の独特なエグしょっぱさが口の中に広がるような気がしました。

 

梅干しなんて嫌いだし、どうやって漬けられてるのかなんて知りもしなかったけれど、調べてみると確かに梅は赤紫蘇と一緒に漬けることであの毒々しい真っ赤な色になるらしい。

 

ということは、僕は梅じゃなく、紫蘇の味がダメなんじゃないか。

 

紫蘇抜きの梅干しなら、純粋な梅干しなら食べられるんじゃないか。

 

そう思って、紫蘇を入れない梅干しを自分で作ってみることにしたんです。

 

七月の下旬ごろに完熟梅を取り寄せました。

 

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これが干される前の梅です。

 

おっきい。

 

一つ齧ってみたところ、酸味のものすごく強いフルーツのような感じでした。紫蘇を入れなければ美味しく浸かりそうな、そんな味でした。

 

一粒はこれくらい。

 

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洗って、ヘタを取ります。

 

漬ける容器は焼酎で殺菌なんて書いてありましたが、そんな生易しいもんでは済ませません。

 

ウォッカです。これでもかとかけてやりました。

 

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余った分はスプライトで割って飲みました。

 

ほんとはマウンテンデューが一番美味しいんですけど、最近売ってないので仕方ありません。

 

なんでマウンテンデュー売ってないんだろう。美味しいのに。

 

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梅と塩を交互に入れて、上から蜂蜜を大量にぶっかけ(蜂蜜はものすごい殺菌作用があるので一石二鳥)、重石をし、密閉し、冷暗所で一月ほど放置。

 

簡単です、梅干し。

 

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 何日かすると梅酢が出て漬かるのでそのまま放っておけばおっけー。

 

放置してる間に台湾なんかへ旅行して(台湾旅行記一日目後編は未だ書いてる途中です。もう筆が進む気はしません)、だいたい一月ほど漬かさったら晴れが続く日を選んで干しに入ります。

 

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これ干し終わった後の様子。

 

あれ、青い。そして硬い。

 

恐ろしく美味しくなさそうなものが出来上がりました。

 

どうしてこうなってしまったのか。

 

ここはひとつ、ばあば(お婆様)に聞くしかありません。

 

困ったことがあればばあばに聞いておけばまず間違いありません。

 

僕「ばあば、梅干し漬けたんだけど、なんか青いのさ。なんでだべ」

 

ばあば「熟してなかったんでないのかい」

 

僕「したって完熟梅ってやつちゃんと買ったんだよ?」

 

ばあば「何色だった?」

 

僕「黄色いのと黄緑いのが混ざってたかな」

 

ばあば「ちゃーんと黄色くなってからでないとダメなんだよそれ」

 

どうやら完熟梅を買ったものの、完全には熟していない状態(緑がかったやつね)だったためこんなことになってしまったようです。

 

ちゃんとした梅を作るためには、緑がかったやつらを新聞で包んでそのまま数日放置。

 

しっかり黄色くさせてから漬けるべきだったそうな。(この作業を追い熟と言うらしい)

 

梅干し漬け、あえなく失敗。

 

そないに簡単なもんではなかったようです梅干し。

 

と、ブログのネタになるかなと思いながらやってみたものの、これではただ梅干しを漬けられなかったやつの話になってしまいます

 

それではすっぱい。酸っぱすぎる結末。梅だけに。

 

 

 

 ということで、今回はこの梅干し漬けから読み取った人生訓というものを語らいたいと思います。

 

去年梅干しを漬けた頃、ちょうど僕は20歳になりました。

 

ハタチになったという実感は全然なかったけれど、梅干しを漬けてみて僕は急に悟ったのです。

 

人生とは梅干しなのだと。

 

そう。

 

人生とは梅干しなのだと。

 

大事なことだから繰り返しておきました。

 

 梅を梅干しにするのは何故か。

 

完全に熟してしまえばあとは腐っていってしまう梅を、その美味しさを持続させ、長持ちさせるために塩に漬け、干す。

 

一番美味しい時期の梅を、梅干しにして旨さを封じ込める。

 

これが梅干しです。

 

人も同じです。(暴論)

 

20歳とは、まさに完熟梅です。

 

まだまだ青かった僕たちが少しずつ熟れて、美味しくなっていく。

 

ここから先は、体力も脳みそも、どんどん老いていくばかり。恐ろしいけれど現実です。

 

ただ歳をとるだけならバカでもできます。

 

ただ口を開け、埃と雨でも飲んでればどんなバカでも20歳になれる。

 

でも旨味のある大人になるのはとても難しいし、その旨味をずっと維持するのはもっと難しい。

 

だから、酸い(塩や梅酢)も甘い(ハチミツ)もあるけれどそれを吸収し、漬かることで、なんとか人としての旨味をもつ大人(梅干し)になれるんだと思うんです。

 

そうなんです。

 

人は梅干しなのです。(三回目)

 

僕たちは梅干しを目指すべきなんです。

 

これが梅干しを漬け、見事に失敗した男の結論です。

 

このくらいなこじつけの暴論を展開するしか、オチを漬けられません。じゃなかった付けられません。

 

 

ハタチよ、梅干しになりましょう。甘くてすっぱい、梅干しになりましょう。

 

 

待った。ぼく竹田が梅になるってことは、松竹梅なら格落ちじゃないか。

 

やっぱりやめた。竹田は竹のままのほうがいいや。

 

おしまい。