ふざけんな超大作の話 【スター・ウォーズ 最後のジェダイ編】

前回のブログで『ジュラシック・ワールド 炎の王国』に吠えてからもうすでに2ヶ月。

 

takeshin619.hatenablog.com

 

あそこで次は『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』に対して怒るぞ!!なんて言っておきながら何もしないままそんなに経ってしまいました。

 

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いつもの僕なら適当にお茶を濁して全然違う話を始めるところですが、今回は違います。

 

そう、そのくらい僕は

 

オコテイルのです。

 

まあた映画の話かよと思っている人もいるでしょう。でも聞いて欲しいんです。

 

二度と、こんな映画を作って欲しくないから。

 

 

そして前回からも引き続き事柄の性質上、大規模なネタバレを含みますのでお気をつけください。

 

 

 

スター・ウォーズ 最後のジェダイ』はご存知スター・ウォーズ(以後SW)シリーズの第8作目に当たる作品です。

 

そもそもSWは一作目の『新たなる希望』から始まったジョージ・ルーカスによるシリーズで、そしてここがややこしいポイントですが

 

一番最初に作られた『新たなる希望』は当初9作品作られるはずだったSWシリーズの4作目に当たる作品です。

 

で、その一番最初に作られた4、5、6作目は旧三部作と呼ばれていて、あのダース・ベイダーが主人公ルーク・スカイウォーカーだったことが判明するのがこの三部作です。

 

え?これがネタバレかって?違います。ダース・ベイダーがルークの父親だったことは一般常識、教養です。

 

でもって次に作られたのが『ファントム・メナス』から始まる1、2、3作目のシリーズ。これらは新三部作と呼ばれルークの父親アナキン・スカイウォーカーがいかにしてダース・ベイダーとなったのか(そして皇帝率いる銀河帝国がいかにして台頭したのか)が描かれています。

 

そして。それら6作品の正当な続編として制作されているのが『フォースの覚醒』から始まる続三部作シリーズ。

 

銀河を牛耳る帝国が滅亡した後、その帝国の残党どもがファースト・オーダーとして再び結集。またも反乱軍を組織してそれらと対峙する……という言ってしまえばやってることはそれまでのシリーズと全く変わってないやんかという内容ではあるわけです。

 

前作『フォースの覚醒』なんかはこれまでのシリーズをなぞったような作品で、

 

これまでの正義側のキャラが全員カムバック!!

 

旧三部作で出てきた最強兵器デス・スターはもっとおっきいスターキラー基地として復活!!

 

ダース・ベイダーポジションにはカイロ・レンというマスクつけたやつがリターン!!

 

ってな具合でほんと旧三部作でやってたこととあんま変わらないんですよ。

 

とは言ってもレイ、フィン、ポー・ダメロンという魅力溢れたキャラを登場させ、新たなシリーズの幕開けを感じさせるような出来にもなっていたのが『フォースの覚醒』でした。

 

言うなれば、過去シリーズファンへの過剰な接待と、新たな物語へのちゃんとしたワクワクを備え、次の作品へバトンを渡したのが前作でした。

 

 

そしてそのバトンをはるか銀河の彼方へほっぽり出したのがこの『最後のジェダイ』なのですよ!!!!

 

 

もうほんとにツッコミどころのオンパレード。

 

ダメな映画の見本市。

 

前の記事に書いたジュラシックワールドなんか目じゃないくらいのひどすぎる映画。

 

この映画はこれまでSWが積み重ねてきたものをガラガラポンにしてしまったと思います。取り返しのつかないレベルで。

 

ざっくりあらすじを見ていきたいんですけど、6隻くらいになってしまった反乱軍の戦艦が敵に追われている場面から今作は始まります。

 

どうにかして逃げねばってことで敵の主力戦艦を爆撃機で倒す作戦をとるんですが、その爆撃機、いっぱい積んだ爆弾を敵主力戦艦の上から落とすんですよ。

 

ここは宇宙じゃなかったのか??

 

スター要素全く感じさせない重力を用いた爆撃作戦、すげえ。

 

開始五分ですでに萎え気味ですよこちとら。

 

でもねまだいいんです。どうにか脳内補完できる。

 

戦艦内部では重力発生させてるでしょうからその関係で、とかなんとか妄想できる。

 

まだ大丈夫だ最後のジェダイ!!

 

でも決定的瞬間はこの後すぐ起こります。

 

SWシリーズ屈指の重要人物レイアが乗る戦艦が攻撃され、レイアは宇宙空間に放り出されてしまいます。

 

そっかあ、中の人(キャリー・フィッシャー)も亡くなったしレイアもここで退場カア、寂しいナアなんて思ったのも束の間。

 

動き出すレイアの指。

 

見開かれる目。

 

そして、

 

レイアまさかの宇宙遊泳

 

もうほんとそのまま読んで字の如く、生身のレイアが宇宙空間を飛んで戦艦に戻ってくるのです。フォースってそんな力だったか?

 

確かにアナキン(ダース・ベイダー)の娘であるレイアは、微弱ながらフォースを使えるでしょう。だからハン・ソロが死んだ時もそれを感じられた。

 

でもよ。

 

生身で宇宙空間を飛ぶのはどうだろう。

 

この時点でもうなんか半笑いしか漏れない。でもまだ。まだ。

 

最悪の時は来ていないのです。

 

むしろここまでは全体の5分の1で起こった出来事なのでそれだけでも怒り心頭なんですけどね本来は。

 

 

まあとにかくレイアが宇宙を泳いで戻って来て反乱軍の戦艦達がハイパースペースを通って逃げるん(つまりワープみたいなもんです)ですけどすぐまた敵の戦艦が追いついてくるんですわ。

 

本来ハイパースペースを通ったら追跡はできないはずなのに何故か追いつかれてしまった反乱軍。

 

敵の戦艦に追跡装置があるからそれを切らねばならない。

 

そのためには敵戦艦に入り込む必要がある。

 

そのためには遠くのカジノ惑星にいるはずのハッカーを見つけなきゃ。

 

で、ハッカーを連れて敵の戦艦に侵入して追跡装置を切ろう!!

 

っていう恐ろしくまどろっこしい作戦が始まるのです。

 

作戦実行者は前作から登場した主人公三人の一人フィンと、今作から登場したローズ。

 

二人はなんとかカジノ惑星に行きハッカーを見つけるんですが、地元の警察にあっさり捕まってしまいます。

 

原因はなんと違法駐車。おい!!!!!

 

なに駐禁取られてんだよ。銀河の危機だぞオメーラ!!!!

 

違反切符切られて牢屋にぶち込まれる二人。どうするのかと思いきや同じ房にいた怪しい男が偶然ハッキング技術を持っていることが判明。

 

ということで当初の目標とは全く違うなんの脈絡もなく登場したハッカーと逃走。

 

でもそれもあっさり発覚。

 

何故なら逃走に使ったマンホールの蓋あけっぱだったから。おい!!!!!

 

アホなのかほんとに。銀河の危機なんだぞ??いいのか??

 

でもまあぽっと出のハッカーと一緒になんとか敵戦艦に侵入するんですが、そのぽっと出のハッカーがあっさり裏切りあえなく御用。

 

まじか。

 

オメーラまだ何もしてないんだぞ??銀河の危機だぞ??

 

っていう具合でこいつら一時間くらい色々やるんですけど、結局何もしてない!!

 

ていうかそもそもこいつらの見せ場を作るために作られたとしか思えない展開ばかりでとにかくやることなすことがアホすぎる。

 

じゃあその間反乱軍は何をしてたのかって??

 

彼らは一時間、劇中設定で十時間以上ただひたすら逃げていました。

 

ワープするだけの燃料もないため(ていうかワープしても追跡装置あるので追いつかれる)ただひたすら全速力で逃げる反乱軍艦隊全3隻。

 

シュール。あまりにもシュール。

 

ていうか無策。いいのか??銀河の危機なんだよね??

 

同じことを考える人々もいて、反乱軍内部では逃走を指示する女提督と新主人公三人のうち一人ポー・ダメロンが対立。結局ポー率いるパイロットがクーデターを起こす始末。

 

ところが!!

 

実は女提督には考えがあり、ある程度逃走することで近くの惑星(しかもなんと反乱軍の昔の基地がある!!)に接近し、複数の輸送船でこっそり逃げ出す予定だったのだ!!

 

じゃあそれをみんなに共有しろよ!!

 

なんでクーデター起こされるまで黙って余裕を装ってるんだよ!!

 

ホウレンソウ!!!

 

日本の中小企業でも言われてることができない反乱軍上層部。帝国軍の残党にここまでやられているのも納得の体たらく。

 

最初からみんなで相談していれば反乱軍内部でのクーデター的展開丸ごといらないんですよ。

 

ここまで来たらわかるでしょ??

 

この映画のほとんどの部分はなくても成立するんです!!

 

とりあえず映画としての見せ場を確保するためだけに、全く必要のないしシーンをこれでもかと詰め込んでいる。

 

二時間かけてやって来た全ては、その全てがなくてもなんら問題はないのです。

 

え?二時間の末にたどり着いた窮地をどうやって突破したのか気になる??

 

そうですか。

 

それはですね、たくさんの輸送船で反乱軍を逃がしながら、母船に残った女提督が敵の主要戦艦に特攻するんですよ、ハイパースペースの超スピードで。

 

まあもうこれはいいんですよ。ハイパースペースで特攻するのがありなら、これまでの7作品でやってきた宇宙戦の全てが無意味にも覚えてきますけど。

 

だって毎回戦艦1隻を犠牲にして特攻させればいいんだから。

 

でもそんなことはもうどうでもいい。

 

この後クライマックスでルークがとんでもない戦闘を演じて見せたり、やっと主人公が合流したりとかいう件もありますがそれもどうでもいい。

 

そういえばここに来るまでに敵の一番の親玉があっさり死んだりなんかしてますけど、それさえももうどうでもいいんです。

 

何故なら。

 

これはもうスター・ウォーズではないだけでなく、映画でもないからです。

 

僕が怒っているのはここです。もはやこれは映画ではない

 

あらたな登場人物を出し、話をなんとか進めるためだけに、考えられたいくつかのシーン。

 

それらを無理矢理繋げるためだけに用意された無理のある筋書き。

 

そんなものにはもはや何の意味もないのです。

 

だから出て来る映像のほとんどはカットしても何の問題もないし、登場人物がみんな馬鹿みたいに見えてしまう。

 

確かに僕はスター・ウォーズファンで、ファンだからこそ怒っているのではとも思われるかもしれない。

 

でも違う。

 

僕が今日指摘したことのほとんどはスター・ウォーズシリーズでやってはいけないことではなく、映画としてツマラねえってことなんです。

 

 

 

そしてこれは、前回取り上げた『ジュラシック・ワールド 炎の王国』と共通する問題です。

 

どちらの作品も再スタートしたシリーズの二作目で、過去シリーズからの脱却を目指そうとしている。

 

過去シリーズをぶち壊しても構わないと思います。もちろん。

 

でも、

 

ぶち壊した後の明確なビジョンがないなら、そんなことすべきじゃなかったんですよ。

 

ぶち壊すだけぶち壊して、誰も何の責任も取らない。

 

シリーズとして成立してないだけじゃなく、もはや映画としての最低限の形も成せず破綻してしまっている。

 

僕は本当に悲しい。

 

頼む、頼むから。

 

超大作を安易な発想で壊すのはもうやめてくれ!!!

 

フザケンナってんですよ。

 

おしまい。

 

 

 

【追記】

当初は全9部作なんて言われていたのが、ディズニーに権利が移ってからというものどうやら12作に拡大するようです。

 

今流行りのバース化計画(有名なのはアベンジャーズシリーズ)にしたいのかもしれないけれどもうほんとやめて。

 

でっかい山を作ろうとして、木の一本一本を枯らしてたら何の意味もないじゃないか。